死と隣り合わせだった戦争、そして貧しい戦後を生き抜き、幸福な家庭を築いた。2人の息子を育て、夫が定年退職してからは孫の成長が何よりの楽しみになった。そんな夫婦が一念発起しておおさかシニアネットのパソコン講座に通い始めてから2年。「いくつになっても新しいものを吸収していくのは楽しい」「高齢者は機械に不慣れだからといって、社会から置いてけぼりにされるのは堪忍してほしい」と口をそろえる宮腰芳修さん(73)、千恵子さん(66)夫婦に、シニア世代のパソコン生活について聞いた。
シニアネットのパソコン講座に参加されたきっかけは
芳修さん
シニアネットの理事をされている桐山さんの紹介です。それまではパソコンどころか、息子に言われて買った携帯電話も床の間に飾っていたような状態でしたから最初は不安でした。2回クリックして、と講師の先生にいわれてもうまくできませんでした
千恵子さん
最初は必死でした。周囲の会員の方はどんどんマスターされるのに私達だけがうまくいかなくて。なにせ、ワープロもさわったことがなかったものですから、キーボードの操作がまず不慣れでした。ほんと、最初は電源をいれるのも怖かったくらいでしたから
そんな状態から始められて、まず最初はパソコンで何をやろうとされたのですか
ちょうど2年ほど前から腕の調子がおかしくなってまっすぐ文字が書きにくくなっていたので、パソコンを使って年賀状を作りたいな、と。それがなかなか難しくて、講師の先生にいろいろと御世話になりました。教室で習ったことを自宅にあるパソコンでやるとうまくいかないんですね。それでシニアネットの事務局に電話をしてパソコンに詳しいスタッフの方に教えてもらったり…。デジタルカメラも入会と同時に購入していたので、写真を入れた年賀状を悪戦苦闘しながら作りました。
住所書きが私の役割だったのですが、なんとか、友人にあてる年賀状の3分の1ぐらいがパソコンを使ってできました。やり方を覚えていく最初の頃は楽しいというより必死で、パソコンに向き合った後は疲れてしまって(笑)。それから旅行へ行った時に撮影した写真をまとめてアルバムを作ったりもするようになりました。基礎の基礎から教えてもらいましたし、この2年で思ったより速くマスターできているかな、とも
まったくの初心者から、少しずつパソコンの活用方法がご夫婦のなかで広がっていったわけですね。
そうですね。最近はカレンダーや名刺づくりにも挑戦しています。そして何より楽しいのは孫の写真を撮って、それをはがきにして送ってあげることです。こんなコミュニケーションのとり方があるとは、シニアネットに参加するまでは想像もつきませんでした。息子らはパソコンに詳しいので、よく彼らに電話でパソコンの使い方を聞いたりして…。親子のコミュニケーションも増えましたね
ただ、教室から戻ってから、自宅でパソコンに向かう時、習ったことを忘れてしまって、ああだ、いや、違うこうだと夫婦で口論することも増えましたけど。そんな時はまた、事務局に電話をして(笑)。ほんと、お手数をかけてしまっています
口論するといいながら、仲が良さそうなお二人ですが、結婚されたのはいつですか。
昭和37年ですね。見合い結婚でした。東京オリンピックが39年ですから、まさに日本の社会が高度経済成長期にものすごい勢いで突入していった時代ですね。今、愛知万博が開催されていますが、45年の大阪万博には子供を連れていったのをよく覚えています
もちろん、お二人とも戦争を体験されているわけですが…。
私は昭和7年生まれですが、戦時中の苦しさよりも、むしろ食べるものさえなかった戦後のひもじさのほうが強く記憶に残っています。みんな掘っ建て小屋みたいなところに住んで、空襲の焼け跡を畑にしていろんな作物を育てたり…。ほんと今、自分たちがパソコンでいろんなことをしていることもそうですが、大阪の街をぶらりと歩いても隔世の感がありますね
私は昭和14年の生まれで、戦時中は幼稚園に通っていました。頭巾をかぶって防空壕へ逃げた記憶があります。生活していくためだけに、ずいぶん苦労もしましたが、そうした歴史があって今の時代があるということをつくづく思いますね。孫は2人いて、11歳と4歳なんですが、彼らが大人になる頃は、いったいどんな社会になってるんでしょうか。私たちがずっと暮らしている福島区も最近ずいぶんと変わってきて驚いています
旅のアルバムを作ってらっしゃるということですが、旅行は昔からの趣味だったのですか。
近畿圏内ですが、主人がハンドルを握って温泉地はよく訪ねますね。十津川温泉とか、白浜のほうとか…。これからも時間があれば、2人でいろんなところへ行きたいですし、シニアネットの会員のみなさんと定期的に行く旅行も楽しみにしています
今後、パソコン講座でどんなことに挑戦していきたいですか。
最近はよく金融機関のホームページなんかを見ているのですが、もっとパソコンのことを深く知りたいですね。なんぼ歳をとっても、社会からはずれても、新しいことを吸収するのは楽しいですから。置いてけぼりは堪忍してくれ、という気概をもって、どんどんパソコンについて詳しくなっていきたい
シニアネットは医療情報も充実していると聞いてます。歳をとったら体について心配の種はつきないですから。私も眼圧がちょっと高いと言われているので気をつけています。もっと自由にパソコンを操作できるようになって、自分たちの健康に役立つ情報をどんどんとりいれていきたいですね
Talking 宮腰 芳修 (みやこし よしのぶ)
Talking
宮腰 知恵子 (みやこし ちえこ)