おおさかシニアネットは、"老いへの挑戦"を主題に、健康フォーラム・小セミナーを開催。シニアライフの各種情報・「お楽しみクラブ」の案内を積極的に発信します。
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人生十色シリーズ 

パソコン半生

 

 

老いの貴重な時間

 世間ではよく聞く話ですが、退職後、家に篭りがちになった夫の世話に当る妻が、それまでの気侭な行動をすっかり奪われて仕舞ったことからくるストレスの所為で、夫婦仲が急激に冷え込んでいくケースが多いといわれます。
 私たち夫婦は、幸いにも「パソコン教室」に一緒にチャレンジし始めたことで、世間でいわれるそんな危機に陥ることもなく、老いの貴重な時間を楽しく過ごしております。

 そのキッカケは、家内が地元阿倍野区民センターで開かれている、「おおさかシニアネット」主催の「パソコン教室」に一緒にいかないかと、私を誘ったことからでした。私が69歳、家内が67歳の時のことです。
 パソコンとは全くの無縁の筈の家内が、唐突にそう言い出したわけを尋ねてみました。家内は、多少恥ずかしそうな表情を覗かせながら、
「パソコンで、料理のレシピ作りに挑戦してみたいのよ」
というではありませんか。

 家内は料理が好きでした。屋敷内の30坪程の庭を耕し家内は花壇づくりをしましたが、私は旬の野菜づくりに精をだし、家内がそれを上手に料理するのを楽しみとしていました。どこから情報を仕入れたかはわかりませんが、生き甲斐としている料理の得意技をパソコンで「レシピ」を作り、それを友人たちに知らせた上、自宅で食事会をしてみたいからと言うではありませんか。

 私は家内の誘いを即座に受けました。

在職中の特訓

 話は10年程前にさかのぼりますが、実をいうと私は、家内とは違ってパソコンには多少の経験がありました。
というのは、勤め先の伊藤忠を定年退職する一年前位のことでしたが、突然社内の私たち管理職と女子社員を対象にパソコン研修が開かれたのです。研修は業務上、「エクセル」に絞って行われました。会社側からは、これからの情報化社会の経営は、パソコンの習熟無くしては時流に乗り遅れるという説明でしたが、財経専門の私の業務に、一体パソコンが如何なる役割を果たしてくれるものか、さっぱり見当もつかないまま、まさに異次元の世界への挑戦となりました。
 特訓は、とても耐えがたい苦痛を伴いましたが、2ヶ月を過ぎる頃になると思いもよらぬ成果が上がりだし、一端のエクセル専門家気取りにさせてもらえるようになりました。
 ところがこの時、肝心の「ワード」研修には全く手付かずだったため、結局退職後もインターネットへのアクセスは出来ても、旧友とメールを交換し合って旧情を温めるなど叶わず、実のところこの「忘れ物」を恨んだり、後悔していたところでした。

家内の挑戦

 ですから家内の誘いは、まさに私にとって天佑でもあったのです。
早速、「おおさかシニアネットのパソコン教室」に二人揃って出掛けました。夫婦が揃って同じデスクで受講することは初めてのことらしく、講習にあたるインストラクターさんがわざわざ私たちを披露してくださるオマケまで付き、気恥ずかしい思いをしたことを思い出します。

 この「パソコン教室」のお陰で、私たちの話題がそれで持ちきりとなり、話が弾みだしました。家内の挑戦はそれだけでは終わりません。 夜ともなると横浜在住の息子とIP電話で事細かく指導を受ける熱の入れようで、「料理レシピ作り」に向けての準備は着実にすすんでいるようでした。

 ところが時間が経つ内、家内がどんどん実力を身につけていく一方で、逆に私の方にわからないことが増える逆転現象が起きて来ました。そのために会話もすれ違うようになり、時としてエキサイトする一幕もありました。

 そんなこともあり、私自身もワードの基礎編を身につけた3か月目で、「途中下車」してしまいました。

途中下車

 ここで余談。ご承知のように都心部の過疎化は進む一方です。今まで親しくしていたお隣さんがいつの間にか転居されて、全く知らない人たちの住まいと変り、昔からの良き近所付き合いが少なくなりだしました。地域コミュニティーの崩壊です。自宅の東天下茶屋周辺もその例にもれず、目に見えて疎外感を覚えるような環境になってきています。

 そんなことから、「パソコン教室」を「途中下車」した私は、「おおさかシニアネット」の仲間と縁が切れることだけは避けたいと思い、同ネット主催の「書道教室」や「料理教室」には、家内と一緒に参加しております。

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 その意味では、失われつつある地域コミュニティーの疎外感から私たちを助け出してくれたのが、「パソコン教室」であり、またここで次々と新しいにコミュニティーに接するきっかけづくりとなったのも紛れも無い事実です。

新しい半生

「パソコン教室」は、私たちに「新しい半生」を授けてくれました。
70歳になってまた挑戦できる「新しい半生」が始まったというのは、実に素晴らしいことだと実感しています。
 いま世間では「熟年離婚」ということをよく耳にします。前述のように会話不足がその第一の原因だといわれます。そんな危機もかわせたのも、「パソコン教室」を通じて私たち二人が、共通の価値を共有しかつ新コミュニティーに参加できることを体験できたお陰だと思っております。ぜひぜひ皆さんにこのことをお伝えしたいと念じています。

 年を取っても、常に新しい世界に向かい合うことこそ、老境を楽しむ最高の方法ではないでしょうか。

 最後になりますが、私の「座右の銘」を記させて頂きます。
「The Man ! Who travels in the world ,plants the seeds of flowers, wherever you go」・・・
(世を旅する人よ、あなたがどこへ行こうとも、花の種を播いて歩こう)―。
 この言葉は、世の中がどんなに代わっても通用する言葉であり、次世代の方々にとって含蓄のある言葉ではないかと思っております。

(H18年6月30日取材 レポーター:毛馬一三

Talking 

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沼田 精孝 純子

(ぬまた きよたか すみこ)


-PROFILE-


大阪市阿倍野区に在住。

 

おおさかシニアネットと私

私たち夫婦は、幸いにも「パソコン教室」に一緒にチャレンジし始めたことで、世間でいわれるそんな危機に陥ることもなく、老いの貴重な時間を楽しく過ごしております。
そのキッカケは、家内が地元阿倍野区民センターで開かれている、「おおさかシニアネット」主催の「パソコン教室」に一緒にいかないかと、私を誘ったことからでした。

 

 


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