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  先端医学卓見集
  シリーズ第三回目は 「骨粗鬆症と関連する転倒・骨折の予防」

小池達也先生のお話です。(会報誌 グランパ春号 H20年4月25日発行 Vol.7 から転載)

骨粗鬆症と関連する転倒・骨折の予防

大阪市立大学大学院医学研究科リウマチ外科学 小池達也

 高齢者の骨折予防は、多くの骨折が転倒によるため、転倒を減らすことと骨折を予防することという2つの戦略に分かれる。転倒の防止には、運動あるいは薬物による転倒抑制があり、骨折抑制には薬物による骨量増加・運動による骨量増加・ヒッププロテクタがある。

1)骨量に及ぼす運動の影響
 不動性は骨量低下の重要な因子であり、逆に、骨に負荷をかけることによって、骨密度は増加する。しかし、骨折を抑制しうる程度にまで骨量を増加させることは不可能であり、運動が骨量に対する有効性を発揮できるのは、成長期のみであろう。若いころに積極的に運動をしてきた人は骨量が多い。しかし、高齢者が運動を行っても、若い人のようには骨は増えない。

2)骨折と運動
 高齢者における運動効果が骨折予防に結びつくとすれば、転倒予防を介しての効果である。転倒予防研究では種々の運動プログラムを用いているが、その効果は完全には証明されていない。単独の運動様式で効果が確認されているのは太極拳である。ただし、ある種の運動を行って、転倒は減っても、骨折が減ったという報告はほとんどない。

3)骨折と薬物療法
 骨粗鬆症治療薬のうち、最も有効と考えられているのがビスフォスフォネート製剤であり、脊椎圧迫骨折も大腿骨頸部骨折も約半分に抑制することが報告されている。一方、骨量増加を目的としない薬物治療も存在する。ビタミンDの投与によって骨塩量は増加しないにもかかわらず、脊椎圧迫骨折の発生頻度は有意に低下することが知られている。その理由として、ビタミンDが筋肉に作用し、転倒を減らしているのではないかと考えられている。

4)骨折とヒッププロテクタ
 転倒時に骨折が生じるか否かを決定する因子は、転倒時の防御動作・衝撃力・骨強度の3つである。このうち衝撃力を減弱させるのがヒッププロテクタの役目である。もともと太った人に大腿骨頸部骨折が少ないことから発想された装具で、股の外側にパッドがついており、転倒時の衝撃を減弱するように出来ている。多くの臨床研究が行われているが、結果は一定しておらず、効果は完全には証明されていない。受け入れ率と継続率の低さが問題である。

5)おわりに
 高齢者に生じる骨粗鬆症関連骨折の原因は複雑であり、ただ一つの方法でコントロールしようとする戦略は間違っている。多くの危険因子を評価し、最適の方法を用いるべきである。薬物による骨量増加が望めず、転倒危険因子を有する高齢者にはヒッププロテクタが最も有効であろう。しかし、活動性が高く、ヒッププロテクタを装着しての活動を嫌うような対象者には運動療法の方が適している。今後は、危険因子の的確な評価法の確立が臨まれる。骨量が減っていることが判明すれば、薬物療法も考慮されるべきで、検診などによるスクリーニングがもっと行われるべきである。

 

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